北雪酒造×ONKYO
1946年に大阪市で生まれ、老舗音響ブランドとして一時代を築いた「ONKYO」
特にご年輩のオーディオ好きな方などはよくご存じではないでしょうか。
私もオーディオが好きでONKYOは昔から興味深いメーカーでしたが残念ながら2022年に自己破産してしまいました。
ですが破産前に開発とマーケティング部が分離してそれまでに培われてきた系譜を継いでおり音の研究開発を進めて様々な装置を開発していました。
そのひとつに加振器という機材があります。
以前からモロミや貯蔵庫にスピーカーなどで音楽を聞かせて音波で味を良くするというお酒を造る酒造会社がいくつかあります。
北雪酒造さんも音楽酒という氷温貯蔵庫で休みなく音楽を鳴らして長期貯蔵するお酒があります。
少しマニアックな話になりますがスピーカーはコーン紙などの振動版を震わせ空気を振動させて音にします。そのため貯蔵タンクや容器などには音は伝わりますが、中の液体には音が伝わりにくくなります。
加振器は振動するだけでそれ自体音は発生せず、板や鉄板など振動する物体に付けると音を発する装置です。(テーブルに置くとテーブルから音楽が発生します)
そして液体を入れる器に加振器を取り付ければ中の液体に振動を伝えることができます。
(容器の中に水を張り、容器の外側に加振器を取り付け鳴らすと中の液体に波紋が広がる映像があります!)
そこに目を付けONKYOが開発中だった加振器を発酵中のタンクに取り付け醸造したところはっきりと味わいの変化が現れました。(吟醸香の成分やアミノ酸度などの酒質データでも現れます)
現在そのお酒の味を良くするメカニズムの研究開発が酵母研究では日本トップの東京農業大学で2年近く行われており現在解明中とのことです!
話が長くなりましたが、北雪酒造さんが今までの蔵に響き渡るスピーカーでのシンセサイザー音楽と佐渡の波の音のリラクゼーション音楽に加え、その音に同期させた加振器を醸造タンクに取り付け発酵中のモロミに音楽振動をしっかりと伝えながら造ったお酒がこの北雪純米加振音楽酒です。
北雪酒造さんでは通年販売商品で北雪純米酒があります。
関信越酒類鑑評会、全国燗酒コンテストなどで金賞、優秀賞など数々の受賞歴のある評価の高いお酒です。
そしてこの純米酒と同じ仕込みで、この度加振器を醸造タンクに取り付け造ったお酒が「北雪純米加振音楽酒」です。
なので北雪純米酒と北雪純米加振音楽酒を飲み比べてみれば加振音楽酒の違いがわかるのでは…ということでティスティングしてみました!
〇北雪純米酒
上立ち香は優しくほのかに華やかな香りをまとい味わいは純米酒らしくやや旨口タイプですが飲みやすい印象、甘酸辛バランスの取れたまろやかな味わいです。
〇北雪純米加振音楽酒
純米酒とくらべ香りの華やかさがやや高い印象。味わいはまろやかさが増しています!口当たりはほのかに甘さを感じ味の調和が更によくなった印象。日本酒度+5.5の辛口とは思えないまろやかさがあり後味のキレも純米酒より良く純米吟醸?とも思えるような酒質がワンランク上がった感じです!
加振器という装置を使って造る新たな試みは、日本酒に限らずワインや発酵食品にも徐々に広がり始めているようです。
通年商品の純米酒とは一味違う味わい深さを是非お楽しみください!
発酵タンクに取り付けた加振器(北雪酒造さん提供画像)